実は魔女狩りを止めていた異端審問官 スペイン宗教裁判の真実|BOOK ウォッチ

日本では、ロボットやAIが総じて親しみを以って受け入れられている大きな理由が、ネコ型ロボットの「ドラえもん」人気であり、そのルーツと言って良いであろう「鉄腕アトム」の絶大なる人気であると言えよう。

 

Wikipediaによると、その鉄腕アトムのTVアニメにはこうある。

  • 1963年から1966年にかけてフジテレビ系で日本初の30分テレビアニメシリーズとしてアニメ化された。このアニメ第1作は平均視聴率27.4%を記録しその後、世界各地でも放映された。
  • 1963年1月1日から1966年12月31日までフジテレビ系列にて放送。

 

その1966年から同じく白黒TVでの放送が始まったのが『奥様は魔女』。Wikipediaによると。

  • 『奥さまは魔女』(おくさまはまじょ、原題:Bewitched)は、1964年から1972年までアメリカのABCで全254話が放送された、シチュエーション・コメディのテレビドラマ。
  • 日本でも1966年から日本語吹替版がTBSと毎日放送で放映された。
  • 1966年2月1日から1968年9月3日まで、TBS系列の毎週火曜21:30 - 22:00(JST)に放送された。

 

このバトンタッチするかのようにして始まった愉快なTVドラマにハマり、毎週楽しみにして欠かさず見たものだ。「奥様は魔女だったのです」という台詞は、今でも耳から離れない。

 

鉄腕アトムやドラえもんに親しみを感じるように、魔女に対しても嫌悪感を感じることなく親しみを以って受け止められている様に思う。

 

その魔女について、今では想像すら出来ないことだが、中世から近世にかけ、ヨーロッパにおいては、実に忌まわしい『魔女狩り』という歴史があった。

 

よく、「歴史が審判する」とか言われるが、この『魔女狩り』についても、どんどん事実が明らかになっている様に思う。この度出版される『闇の魔女史』の紹介文を読むと、なんと・・・

 

以下、一部を引用する。

 

 実はこの時、魔女狩りの熱を鎮めて混乱を終わらせたのは、異端審問当局だったという。マドリードの王室や異端審問最高会議は、バスク地方での魔女狩りの加熱ぶりに疑念を覚え、当時、秀才として知られた異端審問官サラザールに調査を命じた。

 

 サラザールは、妖術を自白した者と、 彼らを告発した者の両方から話を聞き、裁判記録を検証した。すると、そこには驚くほどの「虚偽、虚報、不正」があった。

 

 悪名高いスペインの異端審問所は、疑わしい人物を容赦なく追及していたと考えられがちだが、それは誤りだという。実際、イべリア半島各地で執行された魔女の処刑のほとんどは世俗の当局主導で、異端審問官は関与していなかった。また、バスク魔女裁判の後、スペインの異端審問では、1700年までの間に妖術で5000人が告訴されたが、火あぶりに処された者は皆無だった。

 

 たしかに、15世紀末にスペインに異端審問所が設立されたあと、数十年にわたり、魔女の存在は深刻な懸念事項と考えられていた。だが、異端審問官の多くは魔女狩りに懐疑的で、魔女への態度は時間と共に変質し、急速に慎重な態度を取るようになったという。異端審問官たちは、むしろ魔女狩りに異を唱え、抑制する役割を果たしていたのだ。

 

つまり、理性的な異端審問官がいたことが、ヒステリックになった群衆による「虚偽、虚報、不正」の暴走を止めさせる大きな要因となったものと思われる。

 

『闇の魔女史』は、じっくりと読んでみたい一冊だ。

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出版元は、

グラフィック社 (graphicsha.co.jp)

 

闇の魔女史

世界の魔女と魔女裁判の全貌

 

フューチャー パブリッシング 編/ダコスタ 吉村 花子 訳

王から貧しい者まで、子どもを含む老若男女を恐怖に陥れた恐ろしくも忌まわしい闇の歴史、「魔女狩り」。告発された者は、本当に「魔女」だったのか? 世界で大々的に行われた魔女狩りと魔女裁判の真実に迫ります。

 

発売日:2023年5月刊行

仕様:B5変形 並製 総144頁

定価:2090円(10%税込)

ISBN:978-4-7661-3771-2

分類コード:C0076

 

(グラフィック社ホームページより)